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D2C本を読みながら考えたこと

おすすめされていたD2Cの書籍を読んでみた。小売の話ではあるがデジタルプロダクトにも通じる学びがあったので雑感をまとめてみる。

プロダクトではなく世界観を提供する

一番面白かったのはD2Cは販売するモノを中心に置いてないこと。自分の知っているCMや新聞広告ではほとんどモノについて説明している。「はやくきれいにできる」や「軽くて持ち運びしやすい」みたいな。D2Cだとモノを使うことによってどういう世界を体験できるのかを表現している。最近だとAppleのCMが近いと感じた。CMみた後にこれからいろんなワクワクするコンテンツが世の中に出てるくるのかと思った。

これはプロダクト(モノ、ソフトウェア)が良くも悪くもプロダクト以上ではないということだ。デジタルプロダクトの場合にプロダクトばかりみてしまうとユーザーがタスクを完了することに注目してしまう。そこから先のビジョンは見えないままだ。

自分はプロダクトを通して楽しさ、幸福感などの感情を生み出していきたいし、サービスを人に勧めたいと感じてほしい。そのためには自分たちがプロダクトを通してどういう世界を実現したいのかを言語化して伝えないといけない。D2Cは世界観を伝えるために小売+テック+メディアで成り立っているのだろう。

世界観は作り手とプロダクトを繋ぐ

デジタルプロダクトはイメージからつくっていく。イメージはプロダクトチーム(デザイナー、開発者)やユーザー、ステークホルダーみんな持っていて少しづつ異なる。異なるイメージを組み合わせて世界観を生み出していくのは作り手側だ。

世界観がチームでずれたり世界観の共有が少なくなるとプロダクトもずれてしまう。世界観のような抽象的なことを常に意識しながら開発するのは難しい。なので開発者は開発するだけではなく世界観を知って受け入れていくことも必要だと考えていたがD2Cのメディア的側面は開発者への世界観の共有にも効果的なのではないかと思った。

D2Cの世界観の伝え方は雑誌やメディア(写真、動画...)など様々だ。スーツケースを販売しているD2CブランドAwayでは旅行雑誌を出しているようだ。マガジンサイトではスーツケースばかりピックアップされているわけではなく、観光地についての記事や写真のような旅行に行きたくなるコンテンツが詰まっている。もし自分がAwayのECの作り手だったらユーザーにどうなってほしいかのイメージが鮮明に伝わってくると思う。

フィジカルプロダクトは世界観と人の触媒になる

普段からデジタルプロダクトばかりに携わっているとモノのプロダクトの役割のイメージがつかない。書籍を読んで気づいたのはモノは物理的に存在することにも価値があるということだ。

デジタルプロダクトだけだとユーザーに意識してもらい続けることが難しい。世の中にはアプリやメディアが溢れかえっていてユーザーは簡単に他のことに時間を使ってしまう。

それに対してモノはユーザーの生活に融け込むことで常に意識してもらうことができる。

デジタルプロダクトとモノの両輪をまわすことで相互に補完させながらよりユーザーにストーリーを伝えることができるのではないか。


D2Cが小売からメディアとテックを取り込んでいるようにテックもメディアやモノを取り込むことでよりよいサービスをつくれると感じた。

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