[感想] 虚談 / 京極夏彦
2021年発売の京極夏彦の短編集「虚談」を読んだので感想まとめておく。
※ネタバレあり
ずっと薄気味悪さが続いてるのに読むのをやめられない。病みつきになるおもしろさ。この「病みつき」はいい意味だが、何かがついてくるように感じるので、自分にも不思議としか思えないことが起こりそうな気がする。
百鬼夜行シリーズは昭和25年くらいの話なので絶妙に現在と距離があるが、今回は馴染みのあるワードがたくさん出てくるので現実感があった。
個人的には「クラス」に出てくる御木さんのキャラクターが好きだった。
ハキハキとした関西弁に妹思いなところ、はつらつとしてなんでも肯定してくれそうな兄貴肌なところがよかったが。読んだあとは自分がなんなのかも心配になる不安が募ってくる。
「ムエン」もおもしろかった。自分のルーツがきになるのはよくわかる。自分の成分を調べるような感覚。
フィールドワークするときに演繹的に事実が連なるのではなく帰納的にぼんやりと決まったゴールから調べたら恣意的になるのは納得した。人間が自分の積み上げを否定するには覚悟が必要なんだろうなと思ったはなし。
この本で調べた単語
古代ギリシャの彫像様式からきてるらしい
怖い
鉄火肌
無法で荒々しい気質らしい
鉄に火がつく熱さは荒々しすぎる